政府は、有事にも国民の安全など知らんふりで守りません。

堺市は、戦争被害について、政府の責任と逃げています。
自治体とすれば、そう答える他ないのは予想がつきます。

それでは政府は国民を守る準備をその根拠である法に定めているのでしょうか?

前回、岸和田市よりはマシな回答をしてくれた堺市危機管理室災害対策担当に王手をかけた質問で、「政府が国民を守る法整備はなされていない」ということを明らかにします。

(質問ここから)
例えば、環境基本法13条、大気汚染防止法27条Ⅰ、土壌汚染対策法2条Ⅰ、水質汚濁防止法23条Ⅰにおいて、放射性物質は適応除外となっており、「原子力基本法その他の関係法令で定める」となっていましたが、どのように定まっていたでしょうか?

それらについては2012年6月27日改訂で削除(除く土壌汚染対策法)され、政府が基準を定め(16条)国が防止のための必要な措置をとる(21条)となりましたが、基準自体は決まっておりません。

「立法措置」については、在日米軍において、地位協定に基づいた航空特例法により、米軍機と国連軍機については、航空法「第6章 – 航空機の運航」が適応除外となっており、米兵犯罪についても「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」に示されるように裁判権放棄が、法務省 から各地検に対して通達されている例がありますので、立法措置がなされれば万事問題解決するのだとはなりません。

また、仮に立法措置で市民保護がなされると仮定しても、司法について、市民による対国家などへの訴訟の場合(特に基地関連)、裁判所の人事・予算権を持つ 最高裁事務総局が、裁判官合同・協議会によって下級裁判所を訴訟指揮し、事務総局が望ましいと考える方向(国家に有利なよう)に判決を誘導していることで も、司法の不作為性や市民よりも国家権力を擁護する体制下にあると、いくつもの資料によって検証されているところです。

本件被害者補償に対しても、これらと同等に立法不作為が行われる蓋然性が充分に考えられるところですが、それを希望的観測で「立法処置で対応」とする根拠は何でしょうか?(質問ここまで)

つまり、原発が事故を起こして放射性物質による被害が出ても、法律がないので補償の根拠がないとなっているでしょ、法があってもそれは被害者でなく、加害者の側に立って解釈されるでしょ、ということです。

前者については、
プロメテウスの罠〔4〕 東電は述べた「放射性物質は無主物である」
2012年03月02日
から抜粋します。

2011年8月、福島第一原発から約45キロ離れた二本松市の「サンフィールド二本松ゴルフ倶楽部」が東京電力に、汚染の除去を求めて仮処分を東京地裁に申し立てた。
――事故のあと、ゴルフコースからは毎時2~3マイクロシーベルトの高い放射線量が検出されるようになり、営業に障害がでている。
責任者の東電が除染をすべきである。

対する東電は、こう主張した。
――原発から飛び散った放射性物質は東電の所有物ではない。したがって東電は除染に責任をもたない。
答弁書で東電は放射性物質を「もともと無主物であったと考えるのが実態に即している」としている。

無主物とは、ただよう霧や、海で泳ぐ魚のように、だれのものでもない、という意味だ。
つまり、東電としては、飛び散った放射性物質を所有しているとは考えていない。したがって検出された放射性物質は責任者がいない、と主張する。

さらに答弁書は続ける。
「所有権を観念し得るとしても、既にその放射性物質はゴルフ場の土地に附合(ふごう)しているはずである。つまり、債務者(東電)が放射性物質を所有しているわけではない」

飛び散ってしまった放射性物質は、もう他人の土地にくっついたのだから、自分たちのものではない。そんな主張だ。
決定は11年10月31日に下された。
裁判所は東電に除染を求めたゴルフ場の訴えを退けた。
(引用ここまで)

汚染物質をばらまいておいて、「そんな汚染物質は私のものではなく、誰が持ち主でもないものだ」などという言い訳が、ほかの公害や環境汚染で通用しますか?
放射能汚染でこれが許されるのは、前述した「放射性物質は適応除外」と、空気や土・水の汚染防止法に書かれているからです。

後者のような外交的な根拠としてみれば、アメリカが日本に濃縮ウランを貸与する目的から1955年に調印された「日米原子力協定」があります。

後者については、日本国内で米兵及びその家族らが犯罪を犯した際の扱いなどを定めた 「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」(1972年 法務省刑事局作成)というマル秘資料が、国立国会図書館で誰でも見られます。

そこには「重要な案件以外、また日本有事に際しては全面的に、日本側は裁判権を放棄する」と明記され、米軍の将兵が日本国内で刑事事件を起こしても、日本の国内法は適用されないとなっています。

これが資料どおりに運用されていなければ、一笑に付せばいいでしょう。
私も追求せず、「都市伝説」として安心できます。
ですが、実際、その後5年間に起きた約1万3千件の在日米軍関連事件のうち、97%の事件で日本は裁判権を放棄し、実際に裁判が行われた約400件を除いて、米軍の将兵を日本の法律で裁くことはしなかったのです。

この「実質的に重要であると認める事件のみ第1次裁判権を行使するのが適当」と各地検などに指示した53年の刑事局長通達の正式文書名は、
「行政協定第一七条を改正する一九五三年九月二十九日の議定書[3]第三項・第五項に関連した、合同委員会裁判権分科委員会刑事部会日本側部会長の声明」です。

これに基づく密約が、アメリカ側代表が軍法務官事務所のアラン・トッド中佐、日本の代表を津田實・法務省総務課長として、
「罪を犯した米兵の身柄拘束に関する密約」10月22日付け、
「米兵犯罪での日本の第一次裁判権放棄に関する密約」同28日付け
が結ばれました。

これは、米兵・軍属・家族の犯罪に対する刑事裁判権について定めた行政協定第一七条を改定する議定書発効(同29日)の前日で、同協定の運用について協議する日米合同委員会の裁判権分科委員会の非公開議事録として保管されていました。

この「行政協定第一七条」は、現行の「地位協定第一七条」にも、「日本有事の際の適用停止規定」として引き継がれており、日本有事の際には米兵がどんな犯罪を起こしても日本側が裁けない仕組みをつくろうとするものとなっています。

米将兵犯罪への裁判権放棄についてを調査したジャーナリストの吉田敏浩氏によれば、
比較的最近の2008年に発行された『法務省検察統計』を分析したところ、全国の一般の刑法犯に比べて、米将兵の刑法犯の起訴率の方が極めて低いことが明らかになっていますし、
法務省は各地の地方裁判所に、批判を受ける恐れのある裁判権の放棄ではなく、起訴猶予にするよう勧めてると言います。

また、日本人を、戦後最も殺している外国人は米兵で、その数は非常に多い沖縄を復帰後以降から数えても千人を超えるということも記しておきます。

米軍犯罪免責についての類似資料には他にも「犯罪を行っても犯人が米軍の将兵であれば、日本人と同じ刑法は適用されない」とか、「米軍はいついかなるとき でも、必要があれば日本国内のあらゆる施設を日本政府の事前の同意なしに使うことができる」と記した、「日米地位協定の考え方」(1973年外務省)
や、
「米軍機墜落事故や米兵犯罪などの被害者が損害賠償を求める民事裁判に、米軍側はアメリカの利益を害するような情報は証拠などのために提供しなくてもよ く、 またそのような情報が公になりそうな場合は米軍人・軍属を証人として出頭させなくてもよい」という米軍に有利な秘密の取り決めを記した、『日米行政協定に 伴う民事及び刑事特別法関係資料』(1952年 最高裁判所事務総局 部外秘資料)という、米軍がらみの事件・事故を裁く際の、裁判官用の参考資料集があ ります。

この文書の内容については、1952年7月に日米合同委員会で承認されています(米公文書は秘密指定解除されて、国立公文書館ですでに公開されていますが、日本政府は認めていません)。

これらの資料の元となった密約は、今も日本を縛っています。
それに乗って、アメリカの言いなりに集団的自衛権などを発動すれば、バカを見るのは、日本国民だけですし、アメリカ自身も(軍事費肩代わりは望んでいると は言え)アジアでの軍事衝突を望んでいるわけではありませんから、いずれにしても安保11法案はリスクだけを自衛隊や国民に負わせる法案である点は間違い ありません。

そもそも自衛隊は「国民の生命と財産」など守る使命はありません。
その義務を負っているのは警察です。

根拠として自衛隊法で見ましょう。(自衛隊の任務)第三条 自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする。
どこに「国民の生命と財産」の言葉がありますか?

そして、歴代幹部も「国民の生命と財産を守る!」とは言っていませんし、
「国民の生命、財産を守るのは警察の使命であって、武装集団たる自衛隊の任務ではない。 自衛隊は国の独立と平和を守るのである。 警察法と自衛隊法に書いてある。」とした、
故栗栖弘臣 第10代統合幕僚会議議長が書いた『日本国防軍を創設せよ』に反論した幹部もいません。

それは自民党やその支援者が大好きな司馬遼太郎氏も『歴史の中の日本』で書いていますし、
01年、愛媛県立宇和島水産高等学校の練習船「えひめ丸」が浮上してきた米原子力潜水艦グリーンビルに衝突され沈没、教員5人、生徒4人が犠牲となった事 件のように、自衛隊でも民間人と事故を起こしながらも「民間人の責任で、自衛隊に責任がない」とした事件を羅列することでも証明できますが、それは別の機 会にします。

最後に「1.17阪神淡路大震災や、3.11東日本大震災など、災害救助現場での自衛隊の活躍についてはどうだ?」
との質問に答えて終わります。
私も海保や山での遭難での警察や消防が危険すぎて行けない場面での自衛隊の救助を素晴らしいと思い、感謝もしていますし、トモダチ作戦で被爆した米軍人が東京電力に損害賠償を求めているのと対比して、隊員の体調を心配しています。

そんな感情とは別に回答するなら、「それは有事でないからです。」と答えるしかありません。

私は3.11を引き合いに出して、何人もの士官に尋ねましたが、「同時に有事になっていても、攻めてくる他国の軍隊に応戦せずに、人命救助を行う」と答えた人はいませんでした。

指揮を執る士官が「応戦に回る」と言っているのに、部下である兵士や下士官が自分の意志で救助をするなら指揮権は破壊され、軍法会議ものですから、ドラマのように「俺だけでもがれきの下で救出を待っている、この人たちを救う!」などと言えるはずがありません。

「自衛隊が守ってくれる」などと言う人たちは、現実の戦場の話をTVに出ている現場に行かない自称戦場カメラマンなどではなく、石川文洋さんや小林正典さんや石丸次郎さんや西谷文和さんや玉本英子さんのような現場を見てきたジャーナリストに聞きに行けばいかがですか。

国民保護法は、有事の際、国民を守りません!

04年に成立した国民保護法では、各地の議会でその運用の齟齬について質問がなされています。
いずれも首長は、はっきりと「○○という具体的方法によって、自治体住民を守る!」とは言えていません。

質問者のキモは、
1. 自衛隊という“軍人”が、市民の避難誘導をすれば、攻撃目標になるのではないか?
2. 標的とされ、民間人が被害を負った場合にも、攻撃国は正当な兵士への攻撃として免罪されるのではないか?
3. 攻撃の目標とされ、攻撃国も免罪される場合、そのような保護計画を策定した自治体の責任をどう考えるか?
です。

私も今回、再度質問をしてみました。
これに対する回答には、行政がどれだけこの問題についてわかっているかが問われます。

岸和田市にもしておりますが、危機管理部 危機管理課  危機管理担当から回答があったのは、策定根拠を
「国内法である『武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成16年6月18日法律112号)』第35条第1項 に基づき策定いたしました。」
とだけ回答がありました。

04~06年にかけて議会でも今口千代子・池田啓子の両共産市議がこれに関して質問をしており、手を叩きたいところですが、結局は「戦争をしないようにしなければいけません!」とのスローガンに終わっており、具体的な質問にはなっていません。

最終的にはどんな自治体であっても「それは国の問題であり、自治体はやれと言われたのでやったまでのこと。 最終責任は政府に言ってくれ。」としか回答できるはずがないのですが、そこへ行き着くまでにどれほど資料を調べ、自治体としてできることがないかを模索したかどうかが問われますし、それによって行政回答能力は上がっていくのですが、岸和田市はそれを放棄しているとしか見えません。

ここでは少しは考えているようであった堺市危機管理室  災害対策担当課長の回答を示しますが、それでも「行政のプロとして、行政運営の指針と法律や条例、政令、命令、規則などをどのように解釈し、具体的事案にはめ込んでいけばいいか」については、不十分です。

1については、
平成18年6月15日に提出された「国民保護法」に関する質問主意書に対する政府答弁において
「軍事組織が住民の避難誘導等に当たるとしても、これが軍事行動から生ずる危険から住民を保護することを目的としたものであることを踏まえると、このような活動が、直ちに国際人道法に反しているとは言えないと考えている。」

~中略~

ジュネーブ条約第一追加議定書第六十六条には
「1 紛争当事者は、自国の文民保護組織並びにその要員、建物及び物品が専ら文民保護の任務の遂行に充てられている間、これらのものが識別されることのできることを確保するよう努める。文民たる住民に提供される避難所も、同様に識別されることができるようにすべきである。

2 紛争当事者は、また、文民保護の国際的な特殊標章が表示される文民のための避難所並びに文民保護の要員、建物及び物品の識別を可能にする方法及び手続を採用し及び実施するよう努める。」
とされております。

また国民保護法第158条にも特殊標章等の交付等の記載があり、文民保護のための特殊標章等による識別を予定しているところです。本市はこれらの法規定を踏まえながら国民保護措置を実施するものです。
などと回答していますが、これは回答になっていません。

私は、その回答が机上の空論であると示唆するために、実際の場面での運用としての質問を重ねました。

識別義務は当事国に求められており、それが仮になされていようとも「誤爆」名目で、子どもを含む民間人被害者が多数、米軍などによって発生している事は論を待ちません。

堺市だけに限らず、殆どの自治体は、政府の言い分を鵜呑みにしますし、分離がなされず、民間人被害者が出ても責任逃れをし、その後の賠償請求においても、空襲被害のように「戦争被害 は国民が等しく受忍(我慢)しなければならない」
との受忍論で、退けられているのが現状です。

空襲被害では、同じく敗戦国のドイツや、英仏などでは賠償されています。
軍人・軍属などにだけ手厚い、日本の姿勢は世界の基本ではありません。
(質問ここまで)
このように識別による分離など戦場でできるはずがないと反論しましたが、回答はありません。

そして堺市の回答に乗っての再質問もしています。
「自衛隊が民間人を避難・保護させ、分離できていないとされて攻撃を受け、堺市市民の民間人被害者が出た場合、その後の責任問題については、どのようにお考えでしょうか?

政府の計画に堺市は従っただけなので、責任は政府にある、免責・免訴されるとお考えか、連帯して賠償責任があると考えるか、別の考えをお持ちか、その理由と共に教えて下さい。」

これに対しての回答は、
「戦争被害に関する賠償求償に関しては、一般的には被害国が加害国に対して一定額の賠償を求めることになります。
また国民の戦争被害に対する賠償については、立法処置で対応するものと考えられております。」
で、
「堺市が計画した避難計画に基づいて市民が自衛隊に誘導されて避難して、誤爆被害を受けても堺市は知らん。 賠償などは国に言え。」ともとれる回答をしています。

それでは、国は有事の際に責任を持って何とかするように、法律が定められているのでしょうか?

安保法案改悪は自衛隊だけでなく、国民のリスクも上げる!!

15日にも強行採決されそうなので、未完ですが、急いで安保11法案についてのリスクについて3回に分けて書きます(注:元は2015年7月14日に書いてます)。

結論としては、「既に国民保護法で逃げる国民のリスクは上がる状態となっていて、そこに安保法案でテロや攻撃リスクは上がるので、国民の危険性は増大する」です。

以前から日米は朝鮮半島と台湾海峡有事を想定して、集団的自衛権行使へと舵を切っています。
アメリカとは、1978年 防衛協力のための指針(ガイドライン)
国内法では、
99年 周辺自事態法
2003年 武力攻撃事態法
04年 国民保護法、米軍支援円滑法
07年 米軍基地再編促進法
といったものです。

これらの軍事強化は、冷戦に変わる軍産複合体の経済効果を狙ってのものです。
つまり人命よりもカネ儲けが主たる目的です。

「軍産複合体」との言葉を有名にしたのは、1961年1月17日、アイゼンハワー大統領の退任演説でした。
軍需産業と国防総省(日本では防衛省)、議会が形成する、経済的・軍事的・政治的な連合体が、国家・社会に過剰な影響力を行使する可能性、議会・政府の政治的・経済的・軍事的な決定に影響を与える可能性を告発しています。

アイゼンハワーは第2次大戦ではヨーロッパ戦線の対イタリア・ドイツ戦で指揮を執り、それ以前からの軍歴を持つ軍人出身の大統領です。
ですが、冷戦期の57年、ソ連が人類初の人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げ成功した時も軍事費の拡大はしませんでした。

宇宙開発競争については、ソ連が先行し、1961年、ユーリ・ガガーリンが、ボストーク1号で史上初の有人宇宙飛行を成功させます。

アメリカは58年にNASAを設立。

62年 人間衛星第1号、「フレンドシップ号」で初の有人軌道飛行成功をさせ、グレン宇宙飛行士が地球を3周(ガガーリンは1周100分)。

65年 「ボスフォート2号」でレオーノフが史上初の宇宙遊泳を実施。

66年 「ルナ9号」、「あらしの海」に史上初の軟着陸、月面の写真を無人撮影。

67年 有人宇宙飛行の歴史における、最初の飛行中の死亡事故。
ソユーズ1号搭乗のウラジーミル・コマロフが、地球を18周後の帰還時に秒速40m(時速145km)で地上に激突し死亡。

69年 人類初の月面着陸成功。
7月20日に「アポロ11号」が、月面の「静かの海」に着陸し、月面に21時間36分滞在、22Kgの月の石を採取。

この有人月着陸を、ソ連もN-1ロケットで追いますが、4回の試験打ち上げ全てに失敗し、実用化の目処が立たないまま
1974年有人月着陸計画(L3計画)は中止され、これに続いてN-1の開発も放棄されました。

そんなアイゼンハワーが危惧した軍産複合体は、原発ムラなどと同じく、日本でもタブー視されたまま膨れ上がります。

2015年度軍事費に計上したオスプレイ購入経費は、5機分で516億円(1機あたり約103億円)ですが、米軍の購入費用は1機当たり50億~60億円で、
「オスプレイを造っているのは米国のベル社とボーイング社。自衛隊は直接、米企業から購入できないので、間に三井物産が入ります。とはいえ、購入額のほと んどは米国企業に流れているのが実態で、この先、オプションなどをつけられ、さらに吹っかけられるんじゃないか と自衛隊内部では心配する声が上がっています」(自衛隊関係者)との声もあります。
(日刊ゲンダイ|自衛隊内でも異論…安倍政権「オスプレイ」相場の2倍で購入
2015年2月26日 )

そして現実には、
「米政府は5日、垂直離着陸輸送機V22オスプレイ17機と関連装備を日本に売却する方針を決め、議会に通知した。
売却総額は推定で計30億ドル(3600億円)。米政府によると、日本はオスプレイ本体のほか、代替部品、エンジン40基、赤外線前方監視装置40基などの売却を求めてきた。」

(時事ドットコム:オスプレイ17機を日本に売却へ=総額3600億円-米政府
(2015/05/06-23:39)【ワシントン時事】)
となっています。

F15についても、米価格25億円のものが、当初の調達価格は約70億円とされましたが、最終的に101億5600万円まで上昇しています。

誰が利ざやを抜いているのでしょうか?

2007年、守屋武昌 前防衛事務次官が、兵器の受注に関して収賄をしたということで起訴されています(10年、懲役2年6月、追徴金約1250万円の実刑判決確定、12年仮出所)。
ゴルフ旅行接待や妻・娘も含む現金賄賂で1249万円。

相手方の山田洋行(2011年9月解散)は、自衛隊親族を常時雇用しているだけでなく、防衛省の退職高官、幹部自衛官の退職者を顧問として受け入れていま す(2007年7月に政界を引退した故田村秀昭 元参議員[自民→民主]は、元航空自衛隊幹部学校長の空将であり、自身の顧問採用を働きかけていたことが 同年11月に判明済み)。

ところで山田洋行という会社を、みなさん知っていましたか?
売上高は350億円(07年度)ほどあったようですが、同じ商社で見れば三井物産は単体で5兆円、連結なら10兆円にもなります(軍事部門だけの売上高は不明)から、一般に有名な商社ではありません。
そんな会社がそれだけの賄賂を払えるほど軍事利権があるなら、規模が大きくなればもっと儲けも増えるでしょうし、ぶら下がる政治家や自衛隊関係者も増えると予想されます。

軍事の儲けの仕組みは明らかにされませんので、それらが密接に絡み合って軍産複合ムラをつくっていると想像はできても、その全貌は暴けません。
そして、それらの利権のために軍事費は増大しているとすればどうでしょう?
こうなることをアイゼンハワーは予期し、その萌芽を見つけていたので警告したと言えます。

さて、安保法案ですが、これについてこんな記事が出ました。

『集団的自衛権行使:国民保護法を発動せず 手続き最小化』
毎日新聞 2015年01月30日 07時30分(青木純)

この記事の「政府は、日本が集団的自衛権を行使した場合に、日本への武力攻撃などから国民を保護する措置を定めた『国民保護法』を発動しない調整に入った。」を、ネット上では、安保法案を早期議決するためとの政府見解を鵜呑みにし、
「政府関係者は、日本への攻撃の恐れが高まった段階で今の国民保護法を発動すれば、国民の安全は確保できるとしている。」との記事終盤に書かれた文章を、ことさら持ち上げ、こちらが真意であると言いたげです。

では、その根拠の国民保護法は、有事の際、国民を守るのか?
これについて次回書きます。

アメリカの戦争下請け法案のリスク 自衛隊の構造問題 4

(3) 拡大した防衛予算は、軍産複合体が吸っている。

『安保法案改悪は自衛隊だけでなく、国民のリスクも上げる!!』
でも書きましたが、軍事費は実際どこに使っているのかを「軍事機密」を盾に情報公開しません。
ですが、儲かりもしない分野に政治家や天下り官僚、企業は群がるでしょうか?

オスプレイ購入経費は、5機分で516億円(1機あたり約103億円)ですが、米軍の購入費用は1機当たり50億~60億円で、F15についても、米価格25億円のものが、当初の調達価格は約70億円とされましたが、最終的に101億5600万円まで上昇しています。
このように膨大な儲けが出るからこそ軍産複合体が形成されるのです。

(4) 自衛隊が“守る”側の米軍予算は、日本の戦争下請け法案(集団的自衛権)を前提に組まれています。

米陸軍、兵士4万人削減へ 予算カットで -[ワシントン 9日 ロイター] 朝日新聞デジタル
2015年7月10日08時53分
にある
「米陸軍は9日、予算削減に対応するために、2017会計年度末までに、兵士4万人と文官1万7000人を削減すると発表した。
これにより、兵士の数は49万人から約45万人に減り、第2次世界大戦以降最低の水準になる。

2001年の同時多発攻撃前には約49万人だった兵士の数は、2012年には57万人にまで増えたが、その後削減されている。」
などといった兵士削減は、米軍機関紙『Stars & Stripes』の横須賀海軍基地発記事にて、既に「2016年の米防衛予算は、まだ日本で未成立ながら、集団的自衛権行使により日本が米側を防衛する事を勘案し削減済み」として、報道されています。
US defense budget already counting on Japan self-defense plan – Pacific – Stripes
By Erik Slavin May 13, 2015

2016年度米国防予算こそ、総額約6120億ドル(約75兆円)と14年度以降2年ぶりの増額であり、15年度と比べて4.4%の増額と膨らんでいます が、2011年に導入された歳出の強制削減枠(上限4990億ドル)を維持し、代わりに強制削減の枠外である戦費を増額しています。

増額しているのは、
前年度から大幅増の1億2600万ドル(約148億円)を要求した在沖縄海兵隊のグアム移転関連費用(予算担当のマコード国防次官は、2月2日の記者会見で「グアム移転は世界に展開する米軍の(計画の)中でも主要な近代化の動きだ。」と強調)、
国外作戦経費を含まない15年度との比較では、空軍 1369→1529億ドル+11.7%が多く(建設費や家族受託費は約30%増しですが、それぞれ70、14億ドルと支出項目内では少額なので、今回は比較対象としません)などで、
人件費は1350→1367億ドルと+1.3%歯しか増額されておらず、前述ロイタ-記事裏付けています。

これらリストラ、無駄使いと、大借金、国内経済の回復がおぼつかない状況で、米軍国防予算肩代わりまでして、仮に徴兵をしたとしても、自衛隊員を教育・維持する予算はどこから出てくるのでしょうかね?

自公政治家の皆さん、どうぞ教えてくれませんか?

アメリカの戦争下請け法案のリスク 自衛隊の構造問題3

(2) 防衛予算の拡大

(1)でお知らせした隊員のリストラ。
そのくせ、予算要求額は上昇し続けています。

2013年度決算で見ます。
租税及印紙収入 46兆9529億4700万円
官業益金及官業収入 436億9900万円
政府資産整理収入 3276億7900万円
雑収入 4兆5909億4400万円
で、合計 51兆9152億6900万円

うち防衛関係費 4兆7922億9000万円ですから、収入から見れば約9.2%ものシェアです(後述する補正予算を含むと5超円超えは果たしています)。

そして日本は大赤字を抱えています。
国の負債は、借金時計 でオンタイム表示されています。
それによれば、8月31日現在1020兆億円となっています。

更に言えば、この「防衛費」には隠しが潜んでいます。
基地周辺対策費・施設の借料や、施設労働者の賃金、基地光熱費などを含む、思いやり予算こと在日米軍駐留経費負担(2014年度1848億円)は防衛予算に含まれています。

ですが、2015年度政府予算のうち補正予算案に盛り込まれた防衛費(2110億円)と合計すると防衛予算全体では5兆1911億円となります。

補正予算は「平成の臨時軍事費特別会計」だ 防衛費は、補正を含めると5兆円の大台を突破 日本の防衛は大丈夫か – 東洋経済オンライン
2015年01月26日 清谷 信一 :軍事ジャーナリスト

から要約します。

何に支出しているかといえば、
大型輸送ヘリ、CH-47Jの改修、連絡偵察機LR-2、
軽装甲機動車43輛、NEC偵察車1輛、96式装甲車8輛、
野外通信システム、個人用防護装備(防弾チョッキなど)、化学防護服、
島嶼部における拠点の整備(与那国島、那覇)、
艦載型映像伝送装置等の整備、装備品の部品等の調達、
厚木飛行場をはじめとする飛行場周辺の住宅防音工事の助成、
在沖米海兵隊のグアム移転、
普天間飛行場の移設に伴う施設整備、
厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機の移駐に伴う施設整備、
新たな政府専用機導入に伴う経費などです。

何ですか?
「本予算で要求すべきじゃないの?」ですって。
おっしゃる通りです。

本来、補正予算として認められるのは「追加財政需要(自衛隊の活動経費)等(999億円)に含まれる、給与改定に伴い不足する自衛隊員の給与等、不足する燃料費、為替レートの変動に伴い不足する外貨関連経費など、想定外の支出に対応するもの」ですから、
「補正予算の枠組みを使って、防衛費を過少申告している」と言われると、返す言葉もないでしょう。

また、他省庁に肩代わりさせているものもあります。
有名なものでは、南極地域観測船「しらせ」の運用に係る経費(約4億円超)があり、乗組員は自衛隊員で実質的には自衛隊が運用していても、文科省予算として計上されています。

防衛費隠しは、まだまだあって、東日本大震災の復興予算流用はもっとえげつない。
岸和田近辺で私が調べたところ、岸和田税務署の耐震工事も復興予算を流用して行われており、堺市でも86億円を流用して焼却場を新設し、現在大阪地裁で住民訴訟係争中です。

防衛省の予算流用 復興相も「いかがなものか」/復興に“悪乗り” /NBC(核生物化学兵器)偵察車25億円も
2012年10月6日
などによると、

災害派遣被服の整備、予備自衛官等個人装具の整備、部隊被服の整備など被服費約2億3千万円要求などはかわいいもので、
各駐屯地の屋外燃料置き場、浄化槽、庁舎、検査・火工場、化学火工品庫、食厨、ボイラー室、整備格納庫などの建て替えや増改修、
輸送ヘリ改修費、
無人機操作訓練・偵察機システム費、
NBC(核生物化学兵器)偵察車、
F15フライトシュミレーター、
パイロットの米国委託教育
武器・弾薬、
鯨類捕獲調査安定化推進対策=シーシェパード対策(これも水産庁ではなく、出動は海自ですよね?)
など、何でもありの闇鍋状態になっています。

しかも、民主政権下でこのような流用がバレたので、自民党政権では、一般予算に組み入れ、わかりにくくし、シーリング(天井)も外しています。

7月31日、復興庁は東日本大震災の復興にまつわる2014年度決算を発表し、前年度と同じく約4割を使い残した(11年度からの累計では、着手が遅れた事業も順次執行され、使い残しは2割弱)と発表しました。
ここに前述した流用分は含まれていません。

復興特別税
所得税(2013年1月1日からの25年間、税額に2.1%を上乗せ)、
住民税(2014年度から10年間、年間千円引き上げ)、
法人税を余分に取られているのですから、その使徒についても目を光らせねばなりません。

アメリカの戦争下請け法案のリスク 自衛隊の構造問題2

(1) 人件費削減

防衛関係費400億円増に圧縮 定員増に財務省が難色 – 産経ニュース
2013.1.26 12:23
から引用します。

財務省は中国の領海侵犯などの影響を受けて、海自などの正面装備の予算拡充は認めたが、増員にかかる予算に関しては圧縮している。

防衛省は自衛隊の定員充足率を高めるため、陸海空で「1万8千人の増員が必要」(同省筋)としてきたが、財務省は国家公務員全体の定員削減方針をもとに大幅増を認めず、計300人弱の増員にとどまる見通しとなった。

政府は25日、平成25年度予算案の防衛関係費に関し、防衛省や自民党が今年度の4兆6453億円から約1200億円の上積みを目指していた伸び幅を約 400億円に圧縮する方針を固めた。29日の閣議決定に向けた財務、防衛両省の調整で大筋合意した。防衛省は沖縄県・尖閣諸島周辺での中国の活動に対 処するため大幅定員増を求めたが、財務省が難色を示した。

防衛省は自衛隊の定員充足率を高めるため、陸海空で「1万8千人の増員が必要」(同省筋)としてきたが、財務省は国家公務員全体の定員削減方針をもとに大幅増を認めず、計300人弱の増員にとどまる見通しとなった。

財務省はさらに、尖閣諸島を含む「南西重視」の戦略をもとに、航空機の能力向上や艦艇の整備など、空自や海自の予算拡充は認めたが、陸自に関しては火力戦闘車開発費の圧縮などで予算削減を求めている。

小野寺五典防衛相は27日に予定される麻生太郎財務相との閣僚折衝で約400億円の伸び幅を上積みするよう求める方針だが、財務省側は拒否する見通し。

防衛関係費をめぐっては、公明党の斉藤鉄夫幹事長代行が22日、甘利明経済再生担当相との会談で「安心、安全のために必要な予算を確保するのは当然だが、 突出して伸びることについては国民としっかり議論すべきではないか」と指摘しており、与党内のこうした意見が「財務省の厳しい査定に影響した」(防衛省幹 部)とみられている。
(引用ここまで)

1万8千人の要求に対して、実際には300人弱の増員ですよ!
話になりません。

次に書きますが、現場兵士をリストラしまくっておいて、増員もしないで、利権を貪れる“おもちゃ”は、別の財布を使ってでも買い続ける。

この矛盾を政府・自公政治家は、説明できますか?
ネトウヨにすら説明できないでしょうね。
まさか、ネトウヨにアイドルの稲田朋美 政務調査会長、高市早苗 総務相、山谷えり子 国家公安委員長あたりを経由して「無報酬で戦地に行ってくれ」なんて言うつもりでしょうか?

アメリカの戦争下請け法案のリスク 自衛隊の構造問題1

私は戦争下請け法案反対デモでも、「自衛官を殺すな!」とのプラカードを持ちます。

最も先に被害に遭うのは、殺し殺される自衛官だからです。


ですが法案賛成者は、自衛官の安全については何も言いません。

まさか死ぬことが兵士最大の勲章とでも思っているのでしょうか?

そんな公言ができるはずがありませんけれど、今回は自衛官のリスクについていくつか書いてみます。

①-1 隊員の人員不足
戦後、自衛隊は予算不足の影響で定員を満たしたことがありません。

自衛隊「リストラ」のまやかし – 清谷信一 |WEBRONZA – 朝日新聞社
2010年11月11日
によれば、

定員充足率の向上を図ってはいますが、実質的には定員の上限を下げているため、自衛隊員数は純増してません。

平成17年度以降に係る防衛計画の大綱(2004年12月10日安全保障会議決定・閣議決定)に基づき、自衛隊の組織の見直しを図り定員を削減した結果、
「平成3年度に27.5万人だった定員は平成20年度には24.8万人になり、約2.7万人、比率にして約9.6パーセント減になっている。だが実際 の人員数である実員は5114人しか減っていない。しかも平均年齢は2.9歳も上昇している。

 削減されたのは士、つまり兵隊だけで、2万人近く減っている。ところが将官・将校に当たる幹部、下士官に当たる准・曹は逆に増えているのだ。」
士はすべて2年契約の契約社員で、係長以上の中間管理職(下士官、管理職(将校)、役員(将 官)は正社員となります。

このリストラで首を切られたのはすべて派遣の平社員ばかりとなり、正社員の数は逆に増えています。
「 自衛隊の定員に対する平均充足率は約93パーセントだが、将官・将校・下士官はほぼ定員いっぱい、あるいは定員より多い階級もある。対して兵隊(士クラス、士長を除く)の充足率は4割程度に過ぎない。

  つまり前線の兵隊がまったく足りない。これでは現場の部隊は、作戦行動はもとより、まともに業務をこなせない。例えばこの比率を陸自の普通科(歩兵)小 隊に当てはめれば充足率は半分である。通常、戦闘部隊は人員の3割を消耗すると『全滅』と判断されて後方で再編成される。つまり現状では戦う前から『全 滅』していることになる。」

日本の防衛は大丈夫か – 東洋経済オンライン
2015年01月26日 清谷 信一 :軍事ジャーナリスト
からも引用します。

単純計算ならば普通科(歩兵)1個小隊は定員30人 の3分の2しかいないことになる。まさに、震災の現場では士の数が足りない状況にある。しかも、自衛隊は予備役の数が少ないので、大震災という「有事」に おいて人的な補充ができない。そもそも曹に対して士の定員自体が少なすぎることも問題だ。

  加えて、自衛隊でも“高齢化”が進行している。若手である「士」の数が少ないために、自衛隊の平均年齢は2008年度で35.1歳と高い。ちなみに英軍 は30.5歳と自衛隊よりも5歳以上も若い。また1991年度の自衛隊の平均年齢は32.2歳だったので、これと比べても高くなっている。

1991年度から2008年度までに定員は2万9552人減っている。ところが実員は5114名減に留まっている。しかも実際に減ったのは2年契約の任 官自衛官である士クラス、3万9457人だけ。対して将官を含めた幹部は逆に1734人、曹クラスは1万2892人も増えている

現状の放漫予算を放置するならば、数年後には防衛予算を編成することすら危うくなる。必要な装備を調達し、それを維持し、充分な訓練を行う予算が確保でき なくなる。人件費は退職金などで今後も増加する(グラフ4)。装備が高度化したことで、装備の修理維持費が装備調達費を追い抜いている。しかも装備調達費 は、“後払い”である後年度負担が膨らみ、柔軟性を欠いている。その上アラブの政情不安で燃料費は高騰している。
(引用ここまで)

14年度末現在のデータでも見てみます。

自衛隊の定員は陸、海、空合計約24万7000人となっていますが、実際の人員は2万人以上少ない約22万6000人です。
特に若手が担う下位階級の2士、1士、士長は定員の74%しか確保できていませんし、防衛大学校では、集団的自衛権を巡って憲法解釈が変更された昨年度、任官拒否者が前年の10人から25人に急増しています。

あかりちゃんも言っていますが、徴兵制度でなくとも、ブラック国家によるブラック企業応援やブラック社会福祉制度の推進で、“経済的徴兵制”へと自然に変えていくのは、政府にとって難しくはないでしょう。

特集ワイド:狙われる?貧困層の若者 「経済的徴兵制」への懸念 – 毎日新聞
2015年07月23日 夕刊 【小林祥晃】

では、アメリカの例を用いて、日本の懸念が描かれます。
世界の兵役拒否制度を調べている京都女子大の市川ひろみ教授(国際関係論・平和研究)によると、米国が徴兵制から志願制に切り替えたのはベトナム 戦争から米軍が撤退した1973年。その後、フランスも90年代半ばに、イタリア、ドイツは00年以降、相次ぎ志願制になったという。「徴兵制の廃止や停 止は世界的傾向です。無人機の登場に象徴されるように、大勢の兵士が総力戦にかり出された第二次世界大戦期などとは、戦争のあり方が激変したのです」と説 明する。

米軍には、国防総省が奨学金返済を肩代わりする制度や他にも、除隊後の大学進学費用を支給する高卒者向けの制度もある。
「若い入隊者の多くは、こういった学資援助の制度に引かれて志願しますが、入隊期間などの支給条件が厳しく、奨学金や進学資金を満額受給できるのはごく一 部」、
「社会保障費や教育費の削減とともに、経済的困窮者の入隊が増えたのです。特に08年のリーマン・ショック以降、軍は入隊の年齢制限を緩め、若者だけでなく中年の兵士も受け入れています」(堤未果さん)

日本でも、労働問題に詳しい熊沢誠・甲南大名誉教授は「自衛隊に入らないと食べていけないという状況には、すぐにはならないだろう」と断りつつ「生活苦の 学生を狙った『ブラックバイト』が問題化していることも考えると、奨学金免除などの露骨な優遇策をとれば、志願者は増えるのではないか」と危惧する。

実際に貧困と自衛隊を結びつけて考えざるを得ない出来事も起きている。
「苦学生求む!」というキャッチコピーの防衛医科大学校の学校案内ちらし。
「医師、看護師になりたいけど…お金はない!(中略)こんな人を捜しています」との言葉もある。
作製したのは、自衛隊の募集窓口となる神奈川地方協力本部の川崎出張 所。川崎市内の高校生らに自衛隊の募集案内などとともに送付したものだ。

防衛医大は、幹部候補を養成する防衛大学校と同じく学費は無料、入学後は公務員となり給与も出る。
ただし卒業後9年間は自衛隊に勤務する義務があ り、その間に退職する場合は勤務期間に応じて学費返還(最高で約4600万円)を求められる。

同出張所は「経済的理由で医師や看護師の夢を諦めている若者に『こんな道もあるよ』と伝えたいと思い、独自に考えた」と説明する。とはいえ、卒業生は医 官などとして最前線に派遣される可能性は当然ある。ネット上の批判について、担当者は「考え方の違いでしょう」と話した。

一方、昨年5月には文部科学省の有識者会議で奨学金返済の滞納が議題に上った際、委員を務めていた経済同友会のある副代表幹事(当時)が無職の滞納者に ついて「警察や消防、自衛隊などでインターンをしてもらったらどうか」と発言し、一部の識者らから「経済的な徴兵に結びつく」との声が出た。
実際に そのような検討はされていないが、既に自衛隊には、医歯理工系学部の大学3、4年生と大学院生に年間約65万円を貸与し、一定期間任官すれば返済を免除す る「貸費学生」制度がある。熊沢さんはこう話す。
「若者の学ぶ機会を広げる奨学金はそもそも無償化すべきだ。国が喜ぶことをすれば返済を免除するという手法は、不当な便益供与で好ましくありません」

市川さんは、米国で対テロ戦争の帰還兵に聞き取り調査した経験からこう話す。
「犠牲者が出ても、志願制ゆえに一般の人は『自己責任』と考える。派 遣された兵士が百数十万人といっても、人口比では1%未満です。多くの人は帰還兵の心の病の問題には無関心でした」。
経済的徴兵で傷ついた人たちは、社会からも置き去りにされるのか。
(引用ここまで)

この“経済的徴兵”、根拠はこれでした。
「経済的徴兵制」 日本学生支援機構・委員がマッチポンプ
2015年6月26日 23:24
より。

文科省の有識者会議で「経済的徴兵制」を促す発言をしていた人物が、奨学金を貸し付ける日本学生支援機構の運営評議会委員であることが、山本太郎事務所の調べでわかった。
ヤミ金業者が貧乏人にカネを貸し付けておいて、払えなくなったら「カラダで返してもらおうじゃねえか」と脅して風俗に売り飛ばすのと同じ構図だ。マッチポンプでもある。

 この人物は奨学金の貸付を主たる事業とする「日本学生支援機構」の運営評議会委員にして経済同友会・前副代表幹事の前原金一氏。
前原委員は昨年5月開かれた文科省の「学生への経済的支援の在り方に関する検討会」で「返還の滞納者が誰なのか教えてほしい…(中略)防衛省など に頼み1年とか2年とかインターンシップをやってもらえば就職は良くなる。防衛省は考えてもいいと言っている」と発言していた。(文科省議事録より)
(引用ここまで)

学生への経済的支援の在り方に関する検討会(第11回)議事録 :文部科学省(2014年5月26日開催の会合)

での発言をした、前原金一氏は住友生命の常務取締役などを務めた人物で、所属する経済同友会では、麻生財務相に対して、こんなトンデモ提言をしています。
「消費税率を今後、段階的に17%まで引き上げることや、医療や介護など社会保障分野で大胆な改革を行い、毎年5000億円の歳出削減を行うべきだとしている。
そのため、医療費の自己負担を70歳以上でも3割にすることや、介護サービスの自己負担を2割にすることなどを求めている。」

「消費税率17%に」経済同友会が提言 |日テレNEWS24
2015年3月3日 21:50
より。

こんな企業がのさばる、株式会社日本国。
私は以前から、「オウム真理教を嗤えるのか? 日本社会こそが会社真理教信者国家ではないのか?」と言うておりますが、経団連などの組織は、まさしく「企業栄えて国民滅ぶ」を地で行く恐ろしい組織ですね。
青年会議所に票集めに行く議員は、自民、民主問わずにいますが、そんな政治家もこのような思想を政策に推進させるために議員となっているのでしょう。

そして、「人集め」はこんな形でも行われつつあります。

防衛省が自衛隊施設の建設工事を発注する際、災害など緊急時に自衛隊の応援要員となる予 備自衛官を雇用している企業を優遇する落札方式を7月の公告から導入することが9日、分かった。自衛官OBが採用対象者となる予備自衛官と即応予備自衛官 は平成26年度末現在で計約3万7千人で、定員(約5万6千人)の3分の2程度にとどまっており、定員充足率を高めるのが狙いだ。

予備自衛官採用企業を優遇 防衛省、7月の工事発注から – 産経ニュース
2015.6.10 05:00
より

これ自体が既に“経済的徴兵制”だと考えますが、こんな小手先の策を弄しても、リスクが高まれば、人は集まらなくなります。
防大生の任官拒否増加を前述していますが、幹部候補生も同じでしょう。

少子化の人不足に政府はどうしているでしょうか?
安保法制審議の影で、既に派遣法改正法は通過しました。
介護報酬切り下げ、残業代未払法案(ホワイトカラーエグゼンプション)、労働者のあんにな首切りをはした金で許す判決の積み重ね、各地を企業天国にする国 家戦略特区、TPPなど次々に進められてゆく米国型株主至上主義政策によって、医療や社会保障がドンドン切り崩されています。

このようにメシを食えなくしておいて、「自衛隊があるよ」との甘言を用いれば、徴兵制は不要です。
こんなマッチポンプ政府に「国民は未来永劫だまされ続けよ」との自公政権の詐欺政治をいま許せば、取り返しがつきません。