「社会的病理をえぐり出す報道のカ」 色平哲郎医師の文章より

2015-11-03 11:06:26
長野県に、私が医療者として尊敬する方がいます。
農民の生活の中に入って地域の病気を予防したり、無医村への出張診療など、住民と一体となった運動としての医療実践に取り組んだ、故若月俊一医師です。

若月さんは、1910年生まれで、東京帝国大学医学部卒。
同時期の11年に生まれ、京都帝大医学部を出たのが日野原重明医師です。

私はよく「若月さんは医療を追い、日野原さんは金を追った」と言っていますが、それは彼らの経歴を見比べると一目瞭然です。

若月さんは、
1944年、工場での労働災害の研究活動が治安維持法に抵触したとして検挙され目白の拘置所に1年間抑留されます。
1945年、初代の松岡院長と若い女医さんだけの佐久病院に外科医長として赴任し、農民のためにしっかり働く決心をする。
以後佐久で生活に根付いた医療や予防についての活動をし続け一生を終えます。

日野原さんは、
1945年、志願して大日本帝国海軍軍医少尉に任官。
1951年、アメリカのエモリー大学医学部内科に1年間留学。
1952年、帰国し、以後聖路加国際病院一筋です。

佐久総合病院は、JA長野が経営する長野県東信地域の「高度医療と健康福祉の拠点を担う」地域に密着した総合病院です。

聖路加国際病院は、全ての病床に差額ベッド代が上乗せされるシステムで、最低料金は1泊3万5千円から。

両者の比較はこれぐらいにして、若月医療を実践する色平哲郎医師もまた、その文章や医師としての活動を敬愛する方です。

若月さんや色平さんについては、こちらのインタビューを読んでいただければよくわかります。

「長寿日本一! 長野県民が、50年前に始めた習慣」
PRESIDENT  2013年4月29日号

私の説明はこれぐらいにして、色平さんの文章をご紹介します。
いつもながら社会病理を医療の面からえぐるような、考えさせられるものです。

113 社会的病理をえぐり出す報道のカ

現代では誰もが携帯端末で目の前の出来事を撮影し、
インターネットで世界に発信するようになった。
それとともに、ネットにはマスメディア批判が急増している。

しかし、個人がいくら自由に発信できるようになったとはいえ、
情報の確かさや重さの点で、マスメディアが果たしている役割は大きい。
医療界で生きる私たちにとってもマスメディア、たとえば新聞との関わりは重要だ。
新聞記事が医療を変えることもある。

救命士による挿管に接した記者の判断

2001年11月28日付の朝日新聞朝刊の社会面に
「違法覚悟で救われる命」という見出しの記事が載った。
秋田県では、救急搬送時に救急救命士が、
心肺停止に陥った患者に気管内挿管をしていた。
過去5年半の間に1500件を超える挿管を救命士が実施していたことがわかった。

当初、この事実はテレビが全国ニュースで報じた。
救急救命士が医師法に違反して気管内挿管を行っており、
彼らは逮捕されるかもしれないというショッキングな内容だった。

だが、朝日新聞の秋田市担当記者は、上司からの問い合わせに
「彼らは人助けをしようとしていたんです。
制度違反というだけで批判したくはありません」と主張したという。
これを受けて、記事のリードは
「医師法に違反する処置ではあるが、助かる患者がいることも事実。
救命士に挿管を認めるかどうか。
議論はまだ進んでいない」と問題提起をした。

ここから国の制度が議論され、所定の講習・実習を受けた救急救命士
にも気道の確保術が認められるようになったのである。

「無保険の子」救済キヤンペーンの成果

毎日新聞大阪社会部の「無保険の子」救済キャンペーンも
国民健康保険の盲点をえぐり、国政を動かした。

2008年6月28日付の毎日新聞大阪夕刊に
「無保険の子628人 大阪17市町 国保料滞納で 民間団体調べ」
「府全体、推計2000人に」
という見出しの記事が掲載された。
データは民間団体の大阪社会保障推進協議会 (大阪社保協)が
府内の43市町村に質問状を送り、回答を集計したものだった。
親が国保の保険料を滞納したために保険給付を止められ、
子どもの医療費も全額自己負担というのは理不尽だ。
無保険状態になって発熱しても病院へ行けない子、
検診で虫歯が見つかっても歯科にかかれない子、、、実態をあぶりだす。

毎日新間の調べで、全国の自治体で国保料の格差は「3.6倍」
にも達していることが判明。
厚生労働省は調査に乗り出し、全国で3万2903人の「無保険の子」
がいると確認でき、大反響が起きる。
2008年の暮れ、ついに国会で改正国民健康保険法が全会一致で成立。
中学生以下の無保険の子は救済されることになった。
2010年7月からは、救済対象が約1万人の高校生にまで広げられたのである。

報道は社会的病理を治す力をも備えている。

(連載・「医のふるさと」 日経メディカル 2015年10月29日 色平哲郎)

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投稿者:

watchdogkisiwada

議会の無駄遣いを正して、府下ワーストに高い国保・介保料の値下げや、子ども・高齢者施策など、市民利益への還元を! あなたの“かかりりつけよろず相談員”としての使命に励みます!! 行政書士としてトラブル予防を、 防災士として防災や防犯を、 柔道整復師として健康について、 ご相談、承ります。 放漫市長と議会が大赤字にした岸和田市政を立て直す!! あまりにもひどすぎる馴れ合い議会がチェックしていない、議員特権や行政の無駄などを、岸和田で初めて私が追及、是正させています。 情報、批判はコメントいただくか、 メールアドレス:kurohata73@yahoo.co.jp 電話:080-6178-6006まで! 岸和田市議や市長らは私の追及に逃げまどっていますが、自民・公明・維新などのネトウヨ政治家だけでなく、共産・民主他どんな議員とも公開討論、受けて立ちます!!

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